2006-11-01

排除の傾向

人のもつ他人排除の傾向は、なら転び八起きさんのBLOGに書かれた「アリアドネからの糸」の下記のくだりにみごとに記述されている。
「社会も精神医学も自戒するべきは、傷ついた人に向かうに当たって、それ以前の性格や素行や生活態度、あるいは外傷後の精神医学的以上のほうを、外傷後症候群より優先させてしまいがちなことである。すなわち、犠牲者をもう一度犠牲者として社会から排除しがちなことである。これは一部は人間が理由づけを行うことや因果関係を求めることで安心する動物であることからくる。われわれは理不尽に直面する勇気が必要である、それが人為的なものであっても、そうでなくても。われわれには自分がみたくないものを社会から排除する自然的傾向がある。」(中井『アリアドネからの糸』みすず書房、1997年、161頁)
理不尽に直面する勇気を持つことが真のやさしさといえるだろう。
そういえば、現在東大総長をしている小宮山さんによると、学生には毎年
①本質を捉える知
②他者を感ずる力
③先頭に立つ勇気
の3点を要求しているそうだが、これなども真のやさしさが履き違えられている世の中への警鐘であろう。